番組を作るという口実2023年2月6日
はじめまして!
昨年、1月に中途で入社しました中鳥と申します。
入社して1年があっという間に過ぎ、「もう1年経ったのか」という思いです。
前職は同じくディレクターとして、民放のバラエティーや密着番組を
制作していました。
働き方改革の時代とはいえ、なかなか休みが取れないこの業界。
千代田ラフトに面接に来た当時は徹夜明けで「休みはありますか?」と
真っ先に聞いたことを覚えています。
仕事が立て込んでしまった時はラフトの皆さんにとても心配をされて、「なんだか暖かい会社だな」と感じました。
私が番組制作をしたいと思ったのは大学時代、特殊清掃という仕事をする人を取材している番組を見たことでした。特殊清掃、孤独死や自殺された方などの家を清掃する方です。
今でも印象に残っているシーンがあります。
特殊清掃の方が、孤独死した遺族の娘に
「苦しんで亡くなった遺体は、痛みから逃れたいという思いから玄関の方を向いて亡くなる。でもこの方は仰向けで眠るように亡くなっていましたよ」と伝え、
その遺族の悲しみがほんの少しほぐれる場面です。
「へ~特殊清掃っていう仕事があるのか、気になるな」と思いつつもテレビはコンプライアンスが厳しいので、その番組もモザイクが多く、
見たいのに見れない場面も多くあり、とてももどかしく感じていました。
当時、特にやりたい職業がなかった私は、なにも考えず思ったのです。
「作る側になればモザイクなしで、見れそうだな」と。
今考えると人の死を扱った番組なのに、不謹慎なことを思って見ていたなと反省しています。。。
ですが今でも、「人に何かを伝えたい」というよりも「自分が見たい」という思いが、正直強いかもです。番組作りを口実に自分の欲求を満たしてます。
ラフトでは1年間、様々な番組に関わらせていただき、いろいろなものを見ることができました。
昨年6月に放送したNHK「ロコだけが知っている」では、2か月間大阪へ行き、大阪の芸人さん、それを支える人達をテーマに番組を制作しました。
私が担当したのは若手芸人達が芸を披露する大阪の地下劇場。
それまでいわゆる売れてる芸人のステージは何度か見たことはありましたが、
地下劇場は初めてでした。
当時は、地下劇場の取材が決まった時、内心つまらなそうだなと感じてしまいました。
売れていない芸人達と、常連のお客さんが慣れあって、
身内のノリで笑ってる、寒い感じなんだろうなと。
しかし、実際そこで見た芸人達のステージは想像とは全く別物でした。
出番前に壁に向かってネタ合わせする芸人たち。少しでも場数を踏んで、芸を磨こうともがている姿。
地下劇場という場所も、芸人の表情や動きがはっきり見えますし、
大きなステージで見る漫才よりも笑いの空気が伝わってくる感覚がありました。
気づいたら、爆笑してました。
それまでの変な偏見がなくなり、彼らを応援したいなとさえ思いました。
感覚的にはもうお客さんの一員でした。
ふとした時にこの仕事をしていない自分を考える事があります。
多分人見知りな性格で、出不精なので
すごく狭い世界で暮らしていただろうなと。
そんな私にとって番組作りは新しい世界を知れる、いい口実です。
ラフトはいろいろなジャンルの番組を制作してます。
多分これからも自分の浅はかでちっぽけな考えを壊される番組に関わっていくのかなと、ワクワクしています。
そこで感じられたことを大切に、事前の構成にとらわれない
ディレクターになりたいと考えています。
中鳥晃貴 オレンジのスタッフベストがパツパツで大変でした。