映像の面白さに魅せられ、この世界に入ってから13年。 作った映像は、15秒程度の短いものから1時間程度のものまで 全部合わせると、もうすぐ100を超えます。 ここ数年間、僕がものづくりのときに大切にしていること、 それは『新しい価値を生み出し、伝わるカタチにする』ということ。 僕の中で「新しい価値を生む」とは、すでに世の中に当たり前にあるものでも、 これまでとは違った角度から光を照らすことで、新しい価値を生む(またはプラスする)ということ。 例えば、ディレクターを担当してきたNHK Eテレの科学バラエティ番組「すイエんサー」での話ですが、 「何も使わずに、手紙を超ピッタリ三等分にしたい」という企画で番組を作ったことがあります。 この企画は、定規などを一切使わずに、手紙をピッタリ三つ折りにする方法をただひたすら考えるという、 テレビ的にはものすご~く地味なテーマでした。 それでもあえてこの企画にしたのは、誰でも手に入れることのできる何てことのない紙1枚を、 これまでとは違った角度から光を照らすだけで、ものすごく楽しめるものにすることができたら、 『見てくれた人達の日常をハッピーにすることができるだろうな!』という思いがあったから。 でも、こういった「新しい価値を生み出す(探し出す)」のはとても大変。 アイデアを出すために、とにかく、考えて、考えて、考えて、、、。 考えてはいるものの、これまでの知識や経験が逆に邪魔をして、まったく出てこないこともしばしば。 無情にも、時間はあっという間に過ぎていきます。 そんなときは、柔らかい脳みそを持つ、若手の力も遠慮なく拝借。 |
これまで苦楽を共にしてきたすイエんサーの歴代AD(左から竹浪・伊藤・坂下)との打ち合わせ |
このようにディレクターの仕事は『考える時間』がひたすら長い。 しかし、この『考える時間』こそ、ディレクターが一番力を入れるべき「戦いの場所」だと僕は思うのです! |
良いアイデアが出ないので、偉大なエンターテイナーMJに なりきってみる僕(左)と元ADの坂下(右) この戦いを、ボクシングに例えるならば、アイデアを出さないのは、パンチを出さないのと一緒。 相手に打たれ(撮影がうまくいかず)、リングに沈められます。 どうにか立ち上がって、ようやくパンチ(アイデア)を出せたとしても、 相手(視聴者)に効かなくては(伝わらなくては)意味がありません。 だから、僕は、この勝負に勝つために、何度も何度も倒れ、 そのたびに立ち上がり、ディレクターという仕事を続けてきました。 そう、あの矢吹ジョーのように・・・ 少し大げさに思えるかもしれませんが、ホントにそんな気持ちで、 このディレクターという仕事をやっているのです。(キッパリ) |
良いアイデアが出るように、樋口真嗣監督に才能を注入してもらう僕 |
そうそう、このところ立て続けに「険しい顔をしてどうしたの?」とか、「さっき、すごい顔してましたよ!」 とか言われたのですが、これは矢吹ジョーのように必死に戦っている僕の姿。(地味な戦いですが、、、。) だから、いつかどこかで、険しい顔している僕を見かけたら「立て・・・立て・・・立つんだジョー!」と 心の中でエールを送って下さいね! |